災害時、「自宅待機」という選択はできるのか

投稿日:2026.04.12

地震、台風、豪雨。
 近年、「想定外」と言われてきた災害が、日常の延長線上で起こる時代になりました。
そうした中で、住まいに求められる役割も変わりつつあります。

それは、
 「避難する場所」ではなく、「とどまれる場所」であること。
つまり、在宅避難(自宅待機)という選択です。


在宅避難という現実的な選択肢

災害時は避難所へ行く、という考え方は今も基本です。
 ただし近年は、「自宅が安全であれば在宅避難を」という考え方が広がっています。

理由はシンプルです。
・避難所の混雑
 ・プライバシーの問題
 ・衛生環境への不安
 ・小さなお子様や高齢者への負担

こうした状況を踏まえると、
 「移動するリスク」と「とどまる安心」を比較する視点が必要になります。


では、自宅待機できる家とは

ここで重要なのは、「どんな家でも在宅避難ができるわけではない」という点です。
成立するためには、最低限以下の条件が求められます。

・構造 地震に耐える強度
・温熱 停電時でも急激に温度が崩れない
・空気 長時間過ごしても負担が少ない環境

つまり、”非常時でも生活の質が極端に落ちない家”であること。
ここに、私たちの家づくりの考え方があります。


数値性能のその先へ

耐震等級3、断熱等性能等級6。
 これらは、いわば「前提条件」です。

もちろん非常に重要です。
 しかし、それだけで在宅避難が成立するわけではありません。

私たちが重視しているのは、
 「空気の質」や「湿度環境」まで含めた総合的な住環境です。

その中核にあるのが、WB工法と漆喰の組み合わせです。


WB工法が災害時に発揮する価値

WB工法は「通気」を軸とした設計思想です。

・室内の空気の通気  臭い、湿気、化学物質の排出効果
 ・外壁の中の通気   外壁裏の通気による清涼効果(特に真夏の灼熱日)

この二重の空気の流れによって、
 湿気・熱・空気質をコントロールします。
災害時、とくに停電時においては、 機械換気や空調に頼れない状況が発生します。
そのときに重要になるのが、「機械に依存しない空気の流れ」です。

気温の変化を感知してバネが伸縮し、換気口の扉を自動で開閉させます。電気を使わずに家の「衣替え」を自動で行うための熱感知センサー兼アクチュエーター(駆動装置)として活用されています。

WB工法は、まさにそこに強みがあります。
WB工法をもっと詳しく ⇒


漆喰という素材の本質的な価値

そして、もう一つ欠かせないのが「漆喰」です。
私たちは外壁・内壁ともに漆喰を通常より厚く塗っています。
これは意匠的な理由だけではありません。
漆喰には、数値化しにくい、しかし確実に体感できる性能があります。


■ 調湿性能 ― 湿気を“処理する”壁

災害時は、窓を開けられない、換気が制限される、といった状況が起こります。
そのとき問題になるのが湿気です。

・結露
 ・カビ
 ・ダニ
 ・臭いの滞留

漆喰はこれらに対して、
 吸放湿による“バッファ(緩衝材)”として機能します。

湿気を一時的に受け止め、環境が整えば放出する。
 この働きが、室内環境の急激な悪化を防ぎます。


■ 消臭・空気浄化性能

漆喰はアルカリ性の性質を持ち、 生活臭や有機物の分解にも寄与します。

災害時は、

・ゴミがすぐに処理できない
 ・生活空間が閉鎖的になる

といった状況になりやすく、臭気ストレスが増大します。

その中で、 壁そのものが空気環境に作用するというのは大きな違いです。


■ 不燃材料としての安心

見落とされがちですが、漆喰は不燃材料です。

万が一の火災時にも延焼リスクを抑える効果があり、
 これは「避難しなくて済む家」を考える上で重要な要素です。


■ 厚く塗る意味

当社の内壁は凹凸をつけた厚塗り(5~6mm)の漆喰で仕上げています。ヨーロッパの古い建物は石やレンガの壁が多く、住まい人がDIYで手を入れる毎に塗り重ねのデザインが出来上がってきたのです。

結果的に厚みを持たせることで機能層として、
・調湿容量の確保
 ・耐久性の向上
 ・質感の深化
といったメリットが生まれます。

見た目の美しさだけでなく、 時間とともに価値が積み上がる素材です。


在宅避難と「備蓄」の現実

ここまで住宅性能の話をしてきましたが、 もう一つ欠かせないのが「備蓄」です。
どれだけ家の性能が高くても、 ライフラインが止まれば生活は成立しません。


最低限必要な備蓄の考え方

基本は「7日分」を目安に考えます。

■ 水

・1人あたり 1日 約3リットル
 → 4人家族なら 約84リットル(7日分)

飲料だけでなく、 簡易的な生活用水も考慮する必要があります。


■ 食料

ポイントは「調理不要 or 簡易調理」です。

・レトルト食品
 ・缶詰
 ・アルファ化米
 ・栄養補助食品

また、日常的に食べているものを少し多めにストックする ローリングストックが現実的です。


■ その他

・簡易トイレ
 ・カセットコンロ
 ・モバイルバッテリー
 ・常備薬

これらは「生活の質」を維持するために重要です。


性能と備蓄はセットで考える

ここで大切なのは、

「家の性能」と「備蓄」はどちらか一方では成立しない
 という点です。

例えば、

・断熱性能が低い → 冬に低体温リスク
 ・空気環境が悪い → 長時間滞在が苦痛
 ・湿気がこもる → 衛生状態の悪化

こうした状況では、備蓄があっても在宅避難は難しくなります。
逆に、住宅性能が高ければ、同じ備蓄でも“持ちこたえる力”が変わるのです。


まとめ ― 「とどまれる家」という新しい基準

これからの家づくりは、「耐震性」「断熱性」といった従来の性能に加えて、「災害時に生活を継続できるか」という視点が不可欠です。
WB工法による通気制御、 漆喰による空気環境の安定、 そして断熱等性能等級6というベース性能。
これらはすべて、 “数値では測りきれない安心”を支える要素です。

在宅避難ができる家とは、特別な家ではありません。
日常の快適さを丁寧に積み上げた結果として、 非常時にも機能する家です。


もし、 「性能は理解できるけれど、実際の空気感はわからない」 と感じられた方は、ぜひ一度、モデルハウスへお越しください。数値だけでは語れない”違い”をご体感いただけます。

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