冬でも家中あたたかい家にするための「断熱」と「気密」の基本

投稿日:2026.01.30

冬の朝、リビングは暖かいのに廊下に出るとひんやり。
そんな「部屋ごとの温度差」に悩まされていませんか?
実はこの温度差は、家の“断熱”と“気密”性能に大きく関係しています。

いくら暖房設備を整えても、家そのものが“熱を逃がす構造”では光熱費ばかりがかかってしまいます。
今回は、冬でも家中があたたかく快適に過ごせる「断熱」と「気密」の基本を、家づくりを検討している方向けにわかりやすく解説します。

暖かい部屋

光熱費を抑えて快適に暮らすための家づくり

そもそも「断熱」と「気密」って何が違うの?

● 断熱とは

外の寒さや暑さを家の中に伝えにくくすることを「断熱」といいます。
壁・天井・床に使う断熱材や、窓の性能によって、どれだけ外気温の影響を受けるかが決まります。
たとえば断熱がしっかりしていれば、外が0℃でも室内の暖かさを保ちやすくなり、暖房を切ってもすぐには冷えません。

● 気密とは

一方の「気密」は、家のすき間の少なさを表します。
すき間が多いと、せっかく暖めた空気が外に逃げ、冷たい空気が入り込みます。
どんなに良い断熱材を使っても、気密が悪いと効果は半減してしまうのです。

つまり、

断熱=熱を通しにくくする性能
気密=空気を漏らさない性能
この2つがそろって初めて、「暖かい家」が実現します。

UA値とC値とは? 家の性能を数値で見る

● UA値(外皮平均熱貫流率)=断熱性能を示す値

UA値は、建物の外側からどれだけ熱が逃げやすいかを数値で示したもので、
数字が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。

たとえば、

  • 一般的な旧省エネ基準の家:UA値 0.87~0.87 W/㎡K程度
  • 高断熱住宅(ZEH相当):UA値 0.6以下
  • 北海道レベルの高性能住宅:UA値 0.4前後

といった目安があります。

このUA値が低いほど、室内の熱が外に逃げにくくなり、暖房の効きが良く、光熱費も安くなるのです。


● C値(相当すき間面積)=気密性能を示す値

C値は、建物全体にどのくらいのすき間があるかを数値化したものです。
単位は「㎠/㎡」。家全体の床面積1㎡あたりに、どれだけのすき間があるかを示します。

たとえば、C値5.0の家とC値0.5の家では、空気の漏れ量が10倍以上違います。
C値1.0以下であれば「高気密住宅」と呼ばれ、冬の冷気の侵入をほとんど感じません。


● UA値とC値の関係

この2つは「車の燃費」と「タイヤの空気圧」のようなもの。
断熱(UA値)が良くても、気密(C値)が悪いと実際の快適性は下がります。
どちらもバランスよく高めることが、快適で省エネな住まいの条件です。

断熱・気密

断熱・気密性能が光熱費に与える影響

断熱や気密の性能が高くなるほど、暖房エネルギーが少なくて済みます。
では、実際にどのくらいの差が出るのでしょうか。

たとえば同じ30坪(約100㎡)の家を比較した場合:

住宅性能冬の暖房費(1シーズン)体感温度暖房設定温度
一般的な断熱(UA0.87・C値5.0)約6万円足元が冷たい23〜24℃
高断熱・高気密(UA0.46・C値0.5)約3万円家中が均一20〜21℃

同じ室温を保つために必要なエネルギーが約半分になるイメージです。
つまり、毎月の光熱費を抑えながら、家中が暖かく快適に過ごせます。

断熱・気密の工夫で得られる3つのメリット

① 家の中の温度差が少なく、ヒートショック予防にも

断熱と気密がしっかりしていれば、リビング・廊下・洗面所などの温度差が小さくなります。
冬場に多い「ヒートショック」(急な温度変化による血圧変動)のリスクを軽減でき、健康的な暮らしにつながります。

② 暖房を弱めても暖かい

外から冷気が入らないため、エアコンの設定温度を低めにしても十分暖かく感じます。
また、室内全体がムラなく暖まるため、「足元だけ冷たい」「廊下が寒い」といった不快感が減ります。

③ 光熱費の削減

暖房の稼働時間が短くなり、月々の電気代・ガス代を抑えられます。
特にZEH基準(UA値0.6以下)レベルの断熱性能を持つ家なら、年間光熱費を1〜2万円単位で節約できるケースも少なくありません。

断熱材と窓の選び方のポイント

● 断熱材

断熱性能は、素材の種類と施工精度によって大きく変わります。
一般的なグラスウールのほかに、フェノールフォーム・吹付ウレタン・セルロースファイバーなどがあります。

  • フェノールフォーム:熱伝導率が低く、高い断熱性能
  • 吹付ウレタン:すき間ができにくく、気密性に優れる
  • セルロースファイバー:調湿性があり、結露にも強い

それぞれ特長があるため、地域の気候や施工方法に合わせた選択が重要です。

● 窓(サッシ)

窓は家の中で最も熱が逃げやすい部分。
アルミサッシよりも、樹脂サッシや複合サッシ+Low-E複層ガラスを選ぶことで、体感温度が大きく変わります。
窓面の断熱強化だけで、冬の暖房エネルギーを約30%削減できるというデータもあります。

高断熱・高気密の家は“夏”も快適

「断熱」と聞くと冬の話と思いがちですが、実は夏にも効果を発揮します。
外の熱気が室内に伝わりにくく、冷房の効きが良くなり、年間を通して省エネ
また、気密性が高いことで湿気や外気の侵入を抑え、カビ・ダニの発生も防げます。

まとめ|“設備より性能”が冬の快適を決める

冬の快適さを決めるのは、暖房器具の種類ではなく家そのものの性能です。
UA値(断熱)とC値(気密)がしっかり確保された家は、

  • 少ない暖房エネルギーで家中が均一に暖かい
  • 光熱費が安く、長く住むほど経済的
  • 健康にもやさしい

という3つの大きなメリットがあります。

これからの家づくりは、「暖房を強くする家」ではなく、
“暖房に頼らなくても暖かい家”をつくること。
そのための第一歩が、「断熱」と「気密」を正しく理解することなのです。

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