自然素材×パッシブ設計で電気代を抑える暮らしとは?

投稿日:2025.07.09

物価の上昇が続く中、「できるだけ光熱費を抑えたい」という声を多く聞くようになりました。特に電気代は年々上がり続けており、家計への負担を感じている方も多いのではないでしょうか。

そんな今、注目されているのが「自然素材」と「パッシブ設計」を取り入れた家づくりです。エアコンや照明などの機械設備に頼りきるのではなく、太陽の光や風などの自然の力を上手に取り入れることで、快適さを保ちつつ省エネを実現する住まい。今回は、自然素材とパッシブ設計を組み合わせた家づくりの魅力と、どのように電気代の削減につながるのかをご紹介します。

自然素材とは、漆喰、無垢材、珪藻土、和紙、麻など、化学物質に頼らず自然の恵みを活かした建材のことを指します。こうした素材には、それぞれ快適な住空間を実現する特性があります。

  1. 調湿性で湿気・乾燥を和らげる
    たとえば漆喰や珪藻土の壁は、空気中の湿気を吸ったり吐いたりして、室内の湿度を適切に保とうとする「調湿機能」があります。夏のじめじめした時期でも室内がべたつかず、冬の乾燥シーズンでも加湿器に頼りすぎずにすむのです。これはエアコンや加湿器・除湿器の使用頻度を減らすことにもつながります。
  2. 木の断熱性と心地よさ
    無垢材には、触れたときのひんやり感が少なく、素足でも心地よいという魅力があります。また、木は空気を多く含んでいるため断熱性能も高く、床暖房がなくても冬に底冷えしにくいのです。こうした特徴も、冷暖房への依存度を減らし、結果として電気代の節約になります。
自然素材の家

パッシブ設計とは、「自然の力を最大限活かす建築設計」のことをいいます。主に「太陽の光」「風」「熱」「地熱」といった自然エネルギーを活用し、住まいの快適性を高める手法です。

ここでは具体的なパッシブ設計の工夫を3つ紹介します。

  1. 日射をコントロールする設計
    南向きに大きな窓を配置し、冬は太陽の光をたっぷり室内に取り込むことで、暖房に頼らずとも温かく過ごせます。逆に夏は軒や庇(ひさし)で日射を遮り、室内の温度上昇を抑えます。こうした設計によって冷暖房の使用頻度が減り、エネルギー消費の削減に大きく貢献します。
  2. 通風計画で風の道をつくる
    窓の配置を工夫し、家の中に風の通り道をつくることで、エアコンを使わずに涼を得られるようになります。たとえば、対角線上に窓を設けることで、自然な風が室内を通り抜けます。夜は涼しい外気を取り入れて、熱がこもりにくい設計が可能です。
  3. 断熱・蓄熱の工夫
    断熱材や遮熱素材を適切に使用することで、外気温の影響を受けにくくし、室内の温度を安定させます。また、土間や漆喰壁など蓄熱性のある素材を使うことで、昼間に取り込んだ熱を夜までゆっくり放出する「自然の暖房」のような効果も得られます。

自然素材とパッシブ設計を組み合わせることで、エアコンや照明といった人工的なエネルギーへの依存を減らしながらも、1年中快適に暮らせる住まいが実現します。

たとえば、夏場は風通しと遮熱で涼しく、冬は日射と断熱・蓄熱で暖かい。室内の湿度は自然素材がコントロールしてくれるので、加湿器や除湿器の出番も少なくなります。

このような暮らしは、単に「電気代が安くなる」だけでなく、「自然のリズムに寄り添う心地よさ」や「健康への安心感」といった目に見えない価値ももたらしてくれます。

初期投資として、自然素材やパッシブ設計の導入は「一般的な住宅よりやや高くなる」場合があります。しかし、ランニングコスト(光熱費やメンテナンス費)の削減や、家族の健康・快適性といった視点を含めると、長期的には大きなメリットがあります。

また、化学物質を極力使わない素材選びや設計は、アレルギーや化学物質過敏症に不安のある方にも安心。住まいが「健康を守る場所」であることを、自然素材の家は体現してくれます。